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第3回 UMLロボットコンテスト

第3回UMLロボットコンテスト審査総評

次回開催にむけての道標べとなるよう、審査委員会からの今回の総評を掲載します。

審査結果と総評

渡辺審査委員長より、今回のモデル審査の結果と総評が発表されました。

各審査委員からのコメント

太田委員

  • やはり去年に比べるとレベルがあがっている。
  • 今回の傾向としては、メタファで動物(蟻、犬等)が多く使われており、 モデルの主体として扱っているチームがいくつかあった。 オブジェクト指向というのは、実世界をモデル化するというのが基本コンセプトであり、 それはなんらかのメタファ使って実世界のモデルに描写していくということになると思う。
  • タイムがとても速いチームで、モデルが評価されていないチームもあるが、それは決してモデリングのレベルが低いというわけではない。 評価を分けたのは、オブジェクト指向的なモデリングになっているかどうか、という点。
  • 私のモデリングのコツは、まず制御しなければならないことを「人」にたとえる。 (人=オブジェクト)このオブジェトが何をやるのか?この各オブジェクト(=人)が自分のやることを自立的にやっていく。という風に考えていく。そうすると、 上位のクラスのものが抽出しやすい。

萩原委員

  • 人に伝えようとするモデリングが多くのチームでなされていた。 ドメイン分割、様々な視点からのモデルなど、色使いもきれいで、わかりやすかった。 私はモデルに大差はないと思っている。
  • インコース、アウトコース、両方完走したチームが3チームしかないのを見ると、 やはり実装は難しいのだろう。 いいモデルができても、実装の際にハードウェアの問題、閾値の問題等、 いろいろ課題はある。
  • 走れなかったチームは今回の経験を来年に反映して、またチャレンジしてほしい。

平鍋委員

  • 今回、メタファが多くて非常に楽しめた。 メタファは設計の過程上、チームのコミュニケーションに役立つ。 今回メタファを使ったチームは「ここの蟻の触覚が・・・」等の会話が 飛び交っていたのではないだろうか。それがチームの活性化につながる。
  • しかし、メタファを使いすぎると、モデルを見たときチーム的モデルになってしまうので、 メタファを使う時は、現実とモデルの対応がうまくいくようにした方がみんなに 伝わりやすい。
  • 今後、コース、審査規定も含めてみんなで進化させていこう。

レオン・スター委員

  • 非常にエキサイティングでこのUMLロボコンを楽しませてもらった。 今回、みなさんはたくさん勉強したのではないだろうか。 レースの最後にタッチセンサが取れてしまったり、様々なハプニングがあり、 とても楽しませてもらった。 来年もぜひ来たい。

鎌田氏(OTI代表取締役)

  • 「このコンテストを通して、日本のリアルタイムの組込みシステムのモデル化を 推進する」という理念に一歩近づいたのではないだろうか。
  • ロボット技術を標準化しようという動きもあり、リアルロボットの世界と今回のような ロボコンの世界が、次のステージではより融合していくと思う。
  • このコンテストが技術者の登竜門という方向、さらにモデルの進化という方向に 発展していくことを期待する。

リチャード・ソーリー氏(OMG会長兼CEO)

  • 私はこれまでにUMLが多くの人たちに使われ、仕事のあり方を変えてくれると 信じてきた。第2回は20組、そして今年は40組を超える多くの出場に、    とても感謝している。
  • 今日のロボコンで、上手く走らせることが出来たチームもそうでないチームも、   ここに集まった全ての人たちがこれからのメカニカルやソフトウェアエンジニアの   地位を高めるだけでなく、進化させてくれるだろうと私は信じている。

二上実行委員長・技術委員長

  • 飛行機やロケットを作っている人は、文書と図面を上手く使い分けている。
    これは、現代の最高のレベルのエンジニアリングのやり方である。
    みなさんは、ソフトウェアにおいてその一歩を踏み出している。 クラスモデル、動体モデル、ユースケース等、様々なビジュアルモデルを使ってエンジニアリングしていくという世界に入っている。 このロボコンを通じてみなさんはとてもよい勉強をしていて、それはとても価値があることである。
  • 組込みソフトウェア技術者のスキルを一般から見えるように、また技術者の教育環境を整備していこうという動きがある。 企業の中でのみなさんの努力を、日本全体の動きとなるようにして、日本の元気を取り戻そう。
    それにはみなさんが底力をつけなければ。底力とはやはり技術力で、その上にチームワークがある。今日のロボコンで、チームワークと 技術力があれば相当のことができる!とみなさんは証明した。この勢いで今後もがんばってほしい。

小林運営委員長

  • このUMLロボコンは、審査、技術、運営とも、ボランティアをべースとした活動です。
    ご協力いただいているみなさんに感謝します。
    また、今後のみなさんのご協力をお願いします。
  • 今回、お子さんと一緒に製作されたという方もいらっしゃいましたが、とても嬉しいことです。 みなさんがここで得たことは5年後10年後に大きな力となっていくことでしょう。 お子さん達に伝えていくことは、20年後30年後の日本の大きな力となっていくことでしょう。 UMLロボコンが世界に拡がっていくことを期待して、また来年お会いしましょう。

4/14 UMLフォーラム パネルディスカッション
「UMLロボコン2004 モデリングから実装まで」

平鍋委員、福田和也氏(モデリング部門優勝者)、レオン・スター委員、渡辺審査委員長、太田委員、萩原委員

コーディネータ:二上貴夫

第3回UMLロボットコンテストの翌日、審査員とモデリング部門優勝者で、パネルディスカッションが行われました。

■テーマ

1.コンテストに提示されたモデルの読み方とその問題点を振り返る。
2.学ぶための方式としてのUMLロボコンの長所・短所とは何か
3.モデルと実走行の性能のギャップを考える。