2026年1月30日

000-1.コラム~Tech Spotlight~ 第1回「レゴ エデュケーション コンピューターサイエンス&AI」新登場

コラム~Tech Spotlight~ではそのときどきに気になるテーマにスポットライトをあてたコラムをお届けします。
第1回目は、先日発表された「レゴ エデュケーション コンピューターサイエンス&AI」についてのお話です。
(文/松原拓也)

◆ 「レゴ エデュケーション コンピューターサイエンス&AI」が新登場

突然のニュースです。 2026年1月12日、レゴ エデュケーションが「レゴ エデュケーション コンピューターサイエンス&AI」という新製品を発表しました。名前が長いので、以後、「CS&AI」と書くことにします。
CS&AIの発売は2026年4月~9月の予定です。そして、CS&AIの発売に合わせて、SPIKEシリーズの販売終了が発表されました。ここでは、2026年1月現在までに得た情報と筆者の個人的な感想を書きたいと思います(松原拓也)。

CS&AIの公式ページはこちらです。


写真は公式ページのスクリーンショットです。 CS&AIの大きな特徴の一つが「ワイヤレス化」です。SPIKEは「ラージハブ」や「スモールハブ」のように制御の中心となるパーツが存在し、センサーやモーターをワイヤーで接続していました。 一方、CS&AIはワイヤーが存在しません。センサーやモーターにはバッテリが内蔵されていて、それぞれ無線で通信する仕組みです。ハブとなるパーツも存在しません。
無線で通信可能なパーツは「ダブルモーター」「シングルモーター」「カラーセンサー」「コントローラー」の4種類です。これらは2025年8月発売の「レゴ エデュケーション サイエンス」セットに含まれていたパーツと同じものが使われています。
パソコンやタブレットを使わずにモーターとセンサーを関連付けさせることができます。例えば、カラーセンサーとモーターのスイッチを押してから「接続カード」を近づけると、「カラーセンサーに反応してモーターを回す」という仕組みを作ることができます。同様の方法でコントローラーとモーターも簡単に関連付けすることができます。モーターの回転軸を手で回すと、それを合図としてモーターを回すという機能も組み込まれています。
複雑な制御を行うには、プログラミングが必要になります。 ノートパソコンやタブレットでプログラムを作成して、制御を行います。具体的な方法については今後、公式ページ内にある「教員用リソース」に公開されると思います。

CS&AIには3種類のセットがあります。「小学1~2年生(5+)」「小学3~6年生(8+)」「中学1~3年生(11+)」です。 CS&AIでは1セットあたり生徒4人で協力して学習を進めることを推奨しています。
表内の価格は海外版です。日本国内での価格は今後、正規代理店から発表される予定です。

写真は公式ページのスクリーンショットです。 CS&AIでは「レゴ エデュケーション コーディングキャンバス」という専用アプリを使ってプログラムを作成します。SPIKEアプリのワードブロックに相当します。低学年向けに、アイコンブロックに相当するプログラミング環境も用意されています。
レゴ エデュケーションの公式Facebookによると、Pythonパッケージをインストールすると、Pythonも対応可能だというコメントがありました。現時点ではまだPythonに対応していません。

公式ページのスクリーンショットです。 CS&AIの専用アプリにはカメラによる認識機能が搭載されています。
見たところ、「右手を上げる」「左手を上げる」という人の動きに反応させるプログラムを作成できるようです。 他にも何か認識機能があるのでしょうか?
CS&AIは「AIリテラシーを学ぶ」というテーマも掲げています。

◆ SPIKEの終了について


レゴ エデュケーションの公式ページによると、SPIKEシリーズの製品は2026年6月30日に直接販売を終了します。正規代理店は在庫のある限りSPIKEシリーズの製品を販売するとのことです。

SPIKEの終了は、ロボット競技にどのような影響を及ぼすでしょうか。
WRO(World Robot Olympiad)のRoboMissionでは2025年度からレゴ社製以外の材料を使ってロボットが作れるようにルールが変更されました。しかし、現状ではSPIKEやEV3の人気が根強くて、レゴ社製以外の材料を使用する参加者は少ないです。今後、利用の比率に変化が起こるかもしれません。 2025年度のRoboMissionのルールについては以下のURLの「5. Robot material & regulations」が参考になります。


FLL(First Lego League)では2026-2027年度と2027-2028年度は、Founders Edition(SPIKEを使用)とFuture Edition(CS&AIを使用)という2つの部門に分かれて競技が行われます。2028-2029年度からはFuture Editionのみとなり、SPIKEが使用できなくなる予定です。

◆ ちょっと余談。マインドストームの歴史

突然ですが、「レゴ マインドストーム」をご存知でしょうか。センサーやモーターやマイコン搭載のブロックを組み合わせて、ロボットを作ることができるセットのシリーズ名です。マインドストームは7年くらいの周期でモデルチェンジが行われてきました。SPIKEが4世代目に相当します。厳密にはSPIKEはマインドストームには属していませんが、色違いのものがリテール版(#51515)で「マインドストーム」と名乗っていましたので、実質的にはマインドストームだと思います。
CS&AIのコンセプトは「レゴ エデュケーションWeDo」に近いと感じるので、マインドストームとは呼びにくいです(個人の感想です)。

さらに余談になりますが、レゴ マインドストームの登場以前についても紹介します。国立国会図書館デジタルコレクションの送信サービスを活用すると、大量の昔の本を無料で読むことができます。


誠文堂新光社の書籍「MSX Logoハンドブック(1985年)」の巻末に「レゴ&Logoプロジェクト」が紹介されています。この研究は「Logo」というプログラミング言語のプログラムでロボットを制御するというもので、研究者はLogoの考案者であるシーモア・パパート氏です。同氏は書籍「Mindstorms: Children, Computers, and Powerful Ideas(1980年)」の著者としても有名です。パパート氏は1989年にはMITメディアラボの学習研究部門の教授に就任しました。 上記の研究の成果として「LEGO TC logo(1987年)」というセットが商品化されました。同様のコンセプトの製品としては「LEGO DACTA Control Lab(1993年)」があります。
レゴ マインドストームの「Robotics Invention System 2.0」のパッケージには「知識は理解の一部にすぎない。本物の理解は実際の経験によって得られる。」というパパート氏の言葉が印刷されています。

当ブログの内容は、弊社製品の活用に関する参考情報として提供しております。
記載されている情報は、正確性や動作を保証するものではありません。皆さまの創意工夫やアイデアの一助となれば幸いです。