2020年の小学校でのプログラミング教育必修化まで1年あまりとなりました。学校でのプログラミング教育について考えるために、「これだ!学校のプログラミング教育」をテーマに、『こどもプログラミング・サミット2018 in Fukui』がハピリンホール(福井県福井市)にて開催されました。
<アイスブレイクの様子>
開会式では、実行委員長である株式会社ナチュラルスタイル代表の松田優一氏が挨拶し、その後、アイスブレイクを行いました。色の異なる7個のレゴ® ブロックを机の上に並べ、ブロックの置き方によって「手をたたく」、「足踏みする」など体を動かすゲームを実施しました。参加者全員が一斉に体を動かし、会場の空気が一気に温かくなったところで、第1部のパネルディスカッションが始まりました。
<ゲストスピーカーと実行委員>
第1部のパネルディスカッションでは、株式会社アフレル代表取締役社長の小林靖英氏がファシリテーターを務めました。現役の小学校の校長先生や大学准教授、プログラミング教育の普及・推進に努める民間企業、団体、行政と、多種多様なフィールドで活躍されている方々をゲストスピーカーに招き、プログラミング教育について、学校、企業、団体、行政など様々な立場から現在の状況についての報告や意見が出されました。
<松田氏の発表の様子>
トップバッターは小金井市立前原小学校の松田氏。
前原小学校でのプログラミング教育の取り組みついてご紹介いただきました。「前原のプログラミング」と題したプログラミング授業の特色挙げ、「プログラミング教育を直接の狙いとはせず、楽しく表現することで、結果としてプログラミング的思考は育まれる」と述べられました。
<上松氏の発表の様子>
続いて、武蔵野学院大学の上松氏からは、海外の事例をご紹介いただきました。スマートフォンがなかった、今から10年ほど前に言われていた21世紀型スキルは、既に古いスキルになってしまっているが、日本では未だにそのスキルが大事だと言っている、と指摘。これからは、例えば、こどもたちが自分で成績のデータを取って、シミュレーションするなど、自分自身で管理していくプロセスが大切であり、この激動の世の中を生き延びるための力を身につける必要があると主張しました。
<小宮山氏の発表の様子>
リクルート次世代教育研究院の小宮山は、ご自身が研究なさっているテクノロジーと教育(特にAIと教育)についてご紹介いただきました。その中で、教員の働き方改革を行うことによって教育の様々な課題が解決され、新しいことへの取り組みが促進されると述べられました。また、CES(アメリカ・ラスベガスで毎年1月に開催されるテクノロジーの見本市)でプログラミング関連の展示が増加傾向にあること、ケンタッキー州ではWi-Fi普及率100%、BYOD(Bring Your Own Deviceの略。個人所有のスマホやタブレット端末などを学校や職場に持ち込んで利用すること)を75%の学区が認めているという先進的な事例についてもお話しいただきました。
<安藤氏の発表の様子>
総務省の安藤氏は、まず、文科省は教育課程内=学校内、総務省は教育課程外=学校外での取り組みを担当していることを述べ、総務省における平成28・29年度の「若年層に対するプログラミング教育の普及促進」実証事業についてご紹介いただきました。
また、総務省としてはこどもたちに「ワクワクする体験を提供して、世界を切り開く力を身につけてほしい。そんな未来を創るこどもたちを応援していく。」と述べられました。
<利根川氏の発表の様子>
NPO法人みんなのコードの利根川氏からは、場所によって機会の差が生まれないように、全国の先生を対象に研修を行い、裾野を広げる活動についてご説明いただきました。そこから見えてきた現在のプログラミング教育における課題点として、「こどもではなく、熱意を持てない先生が多い」こと、「学校の中ではできることに限界がある」ことを挙げられました。
<牧野氏の発表の様子>
鯖江市の牧野市長からは、オープンデータやプログラミング教育義務教育化に向けた取り組み、地域ICTクラブの取り組みについて、ご紹介いただきました。鯖江市では2018年4月から全小中学校でプログラミング教育を導入しており、また、試験的に算数と英語の授業でプログラミングを取り入れた授業を予定していること(一部実施済み)をお話しいただきました。
<細田氏の発表の様子>
最後に金沢市の細田副市長からは、新学習指導要領では十分なプログラミング学習の時間を確保できないと考え、金沢市の取り組みとして、就学前から高校まで、すべてのこどもが十分な学習時間を確保できるよう、地域や企業と連携をしながら、プログラミング教育の実施を計画していることをご紹介いただきました。
第1部は、様々な視点から、プログラミング教育についての意見が飛び交い、日本の教育現場の現状と課題が浮き彫りになりました。
現状:
日本の学校の先生たちは、制限が多い中で、プログラミング教育に限らず、あらゆる教育の面で精一杯努力しており、先生たちの頑張りで日本の教育現場が支えられている。そのため、新しいことに取り組むための余裕がない。
課題:
「頑張り」はもっと効率化できるのではないか。「頑張り」の方向性を変える必要がある=先生の負担を減らし、新しいことに取り組める体制を整える必要がある。
全体の結論として、日本でのプログラミング教育促進のためには、学校の管理職や教育委員会が前向きに取り組むような意識改革や教育現場の仕組みを改革する必要がある、そのためには何をすべきか、というところで第1部のパネルディスカッションが終了しました。
続いてのグループディスカッションでは、テーマごとに6つのグループに分かれ、ゲストスピーカーと参加者が一つの机を囲み、これからのプログラミング教育について、グループ毎の視点から現在の問題点や解決方法について議論しました。どの参加者も積極的に議論に参加し、45分のグループディスカッションはあっという間に過ぎました。
<学校グループ>
松田孝 氏
<海外グループ>
上松恵理子 氏
<民間グループ>
小宮山利恵子 氏
<国グループ>
安藤満佐子 氏
<先生グループ>
利根川裕太 氏
<行政グループ>
牧野百男 氏+細田大造 氏
第2部のパネルディスカッションでは、株式会社jig.jp 取締役会長の福野泰介氏がファシリテーターを務め、グループディスカッションの各グループから代表1名が登壇し、グループで議論した内容を発表しました。
発表後の質疑でも、地域ICTクラブの活用や民間企業の関わり方、教育システム改革などについて、会場内から様々な意見が飛び交いました。
今回のサミットでは、2020年に向けてどうするかだけではなく、さらにその先の未来のプログラミング教育について全員が真剣に考える会となりました。それぞれが今後どう活動していけばいいのかを考え、行動に移し、こどもたちの未来が明るいものになることを期待します。
御協賛企業ならびに御後援関係 御中
御礼
日頃より御協賛企業ならびに御後援関係の皆様には、私たちの活動へのご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
2018年12月26日に開催いたしました「第4回こどもプログラミング・サミット2018 in Fukui」につきまして、御協賛企業ならびに御後援関係各位のご支援、ご協力をお願いいたしましたところ、快くご賛同いただき、厚く御礼申し上げます。
お陰をもちまして、サミットは盛況のうち無事終了することができました。
これもひとえに皆様方からいただきました絶大なるご協力の賜物と心より感謝と御礼を申し上げます。今後とも変わらぬご厚情とご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
福井県教育委員会 福井市教育委員会 福井新聞社 FBC 福井テレビ
福井県こどもプログラミング協議会
こどもプログラミング・サミット実行委員会
株式会社アフレル 株式会社ナチュラルスタイル 株式会社jig.jp 株式会社ict4e 株式会社PFU 株式会社B Inc.