今回は三角関数について紹介します。

三角関数はサイン、コサイン、タンジェントなどを求める関数のことです。これらの関数は円や角度の計算によく使います。どのようなことができるかについては、次回で詳しく紹介します。
三角関数を使うにはプログラムの最初の方に「from math import *」という記述が必要です。 これを書くと、三角関数や、それに関係する定数が使えるようになります。「math」はライブラリの名前です。 ここでは例として、円周率をライトマトリクスに表示してみましょう。 円周率は「pi」という変数に格納されていますので、それを参照するだけで表示できます。

プログラムを実行すると、ライトマトリクスに円周率が表示されます。
表示される円周率は「3.14159」です。実際には続きがありますが、ここでおしまいです。

サインやコサインが具体的にどのような値なのかは、表計算ソフトで見ることができます。 写真は「Open Office Calc」というフリーの表計算ソフトの実行画面です。これを使って、サインとコサインの値をグラフ表示することができます。 サインとコサインの値は「sin」「cos」関数で計算します。
見てのとおり、サインとコサインの範囲は-1.0～+1.0です。 グラフではY軸で描いています。そして、X軸の単位は「度」です。Ｙ軸の値は360度ごとに同じ値を繰り返します。
サインとコサインはX軸が少しずれているだけで、波形は同じです。この「ずれ」の度合いを「位相」といいます。サインとコサインの位相の差は90度です。

それでは、Pythonでサインを求めてみましょう。
サインを求めるには「sin」という関数を使います。先ほどの表計算ソフトと同じです。 sin関数の書式は「sin(ラジアン)」です。引数のラジアンとは、180度＝3.1415…とする独自の単位のことです。学校で習っていないという人も多いと思いますが、プログラムの世界ではラジアンはよく使います。角度からラジアンを算出するには「radians(角度)」という関数を使います。
このプログラムを実行すると、ライトマトリクスには「1」と表示されます。 表計算ソフトの結果を照らし合わせると、正しいことがわかります。 角度を色々変えて、値がどう変わるのか見てみましょう。
今度は、プログラムを「sin(rad)」→「cos(rad)」に書き換えてみましょう。 すると、「0」と表示されるべきところが「3.13916e-07」と表示されてしまいます。 これは間違いではなく、小数の計算ではよくあることなので、無視して構いません。「3.13916e-07」は、物凄く「0」に近い値です。

今度はサイン関数とコサインの関数を自分で作ってみましょう。
同じものを作っても仕方ないので、内容をアレンジします。こちらはサイン・コサインの値を100倍して、整数で引数を返すようにします。
プログラムの先頭にあるのがテーブル（配列）です。ここにサインの値を格納します。 1度ずつ値を用意するのは大変なので、10度ずつに減らしています。

サインのテーブルの値は表計算ソフトを使って作成しています。
扱いやすいように値を整数化しています。 値を100倍して小数点を切り捨てます。
サインとコサインは90度 位相が違うだけで値は同じです。 そのため、コサインのテーブルは必要としません。

プログラムを実行すると、このように線のようなものが表示されました。
これは一体なんでしょうか？

この線は円を90度だけ描いたものです。円弧といいます。
ライトマトリクスの座標（0,0）を中心として、半径4の円弧を描いています。
全く円弧に見えないと思いますが、ライトマトリクスの画素数が5×5個しかないためです。
プログラムを修正することによって、円弧の角度や半径を変更することができます。