第20回親子ロボットプログラミング教室 ロボ・キャンプ2019開催レポート

2019年12月21(土)22日(日)に、福井県福井市の福井工業大学にて20周年を迎える親子プログラミング教室「ロボ・キャンプ2019」を開催しました。 今年は「AI」と「クリエイティブ」をテーマに5つのワークショップを実施し、延べ87組にご参加いただきました。本レポートでは、わくわくと楽しいが溢れた当日の様子をお伝えします。

クリエイティブDAY、AI体験DAY

  • 株式会社アフレル
  • toio
  • 福井工業大学
  • Preferred Networks
  • つくる社
  • 未来ツリー

12/21(土)

クリエイティブDAY

レゴのSPIKE プライムで
楽しくクリエイティブ!

ロボ・キャンプ2019一日目のスタートを切ったのは、株式会社アフレルのワークショップです。
日本ではまだ販売前のロボット教材「SPIKE プライム」(LEGOエデュケーション)を使って参加者の皆さんは「動物と一緒に暮らそう」をテーマに自分で想像したものを創造することに挑戦します。
ワークショップの初めに、SPIKE プライムの使い方を学びます。ハブやモーター、センサーがどんな働きをする物なのかの説明を受けてからモーターをハブにつないで、実際にプログラミング。そして作ったプログラムを再生すると「モータが動いた!」と驚く子どもたちの声が会場にあふれました。
次に、距離センサーやカラーセンサーを使って、距離によって動きを変えたり、カラーセンサーによって動きを変えたりするプログラムにチャレンジ。センサーの仕組みが分かりやすかったこともあり、皆さんスムーズに動かすことが出来ました。

ロボットの仕組みを学んだ後は、一緒に暮らしたい動物を考え「一緒に暮らすためには何が必要か」「それの完成図はどんなものか」を考える時間。皆さん悩みながらも、自由に想像しました。「ジャンガリアンハムスターと暮らすための家が必要」「キリンが食べやすいところまで動く餌入れが欲しい」など、参加者によっていろんな発想が生まれていました。
考える時間の後は、それぞれが自由に考えた作品を制作する時間です。そこでは、保護者の方にもミッションに挑戦していただきました。
「お子さんが考えた“一緒に暮らしたい動物”を作ってください」というお題に、子どもたちに負けじと、創意工夫を凝らして真剣に取り組みました。
保護者の方が作成した動物と、お子さんが作成したものを組み合わせて親子作品の完成です。

プログラミングでクリスマスソングを作成した子や工作コーナーで作成したものとブロックをうまく組み合わせた子など、参加者それぞれで工夫点が異なる、素晴らしい作品がたくさん生まれました。

最後には参加者の皆さんから「もっと作っていたかった」「今度はもっと動くものを作りたい」など、嬉しい言葉をいただきました。参加されたお子さんだけでなく、保護者の方もロボットプログラミングの面白さや「作ること」への楽しさを感じたワークショップとなりました。

~つくって、あそんで、
ひらめいて~ 
ロボットトイtoio

株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントのワークショップでは、同社より発売されている、シンプルなキューブ型ロボットトイ「toio」を使って、2人1組でチームを作り、様々なミッションに取り組みました。

まず初めに、限られたレゴのパーツでアヒルを作ることにチャレンジ。みなさん思い思いのアヒルを作成し、隣の子と見せ合いっこをして、「どの形にも不正解はない」ことを学びました。

次に、toioを運転することにチャレンジ!ハンドルを握って運転する動作には馴染みがあるようで、最初から使いこなし、toioをスイスイ操縦します。チームに配られたミッションシートには、「2人でそれぞれ所定の位置に順番に行ってから2人同時にゴールせよ」とのお題が。なかなか思い通りにいかず、キューブ同士がぶつかってクルクルと回る場面も。
子どもたちは、その様子も楽しく感じられたようで熱心に取り組んでいました。
最後に、toioとミッションシート、工作物を使って、オリジナルのまち作りに挑戦!
2人でまちのテーマを決め、toioの上に思い思いの乗客や建物を作成し、toioのプログラミングでまちを動かしました。

お花のまちや宇宙、自分たちが住む福井市など、いろんなまちができました。
ワークショップの最後には2人1組で考えたまちでのストーリーをみんなの前で発表しました。
他の子が考えた作品を見て、感嘆の声が出たり拍手をしたりと刺激になった様子でした。

参加者の皆さんからは「ドライブとプログラミングができて嬉しかった」
「自分で好きなものを作れてよかった」などの感想をいただき、
参加者それぞれのクリエイティビティが発揮されたワークショップとなりました。

はじめてみよう!Scratchでコンピュータプログラミング!

たくさんのPCが並ぶ教室で行われたのは、福井工業大学のワークショップ。
今回集まった18組の親子はScratchを使ったゲーム作りに挑戦しました。
教えてくれるのは、福井工業大学の恐神正博先生のゼミ生の皆さんです。

今回作成するのは「グリフィンからカミナリを出してコウモリに当てる」というシューティングゲーム。
ワークショップの前半は教室のスクリーンやモニターに映し出された画面を見ながら、Scratchの基本的な使い方の説明を受けます。その後、各自でプログラミングを行い、できたプログラムを再生。
スペースキーを押すとグリフィンからカミナリが発射され、コウモリに当たります。
すると会場のあちこちから「わあ!」と歓声が聞こえてきました。

休憩をはさんだワークショップの後半では、配布されたプログラムのヒント資料を見ながら前半で作成したプログラムに改善を加えていきます。
背景を変えたり、コウモリの数や出現するスピードをランダムにしたり、HPやスコアを実施したり…
参加した子どもたちだけでなく保護者の方も、思い思いの改良を重ね、「どうすれば思った通りに動くんだろう?」と親子で話し合いながら集中して熱心に取り組んでいました。

熱中して取り組んだ3時間はあっという間に過ぎていき、恐神先生が最後に、「Scratchはお家でも出来るので是非やってみてください。」と伝えると会場からは「もっと作っていたかった」や「楽しかったから帰ったら家でもやりたい」との声が!
Scratchの楽しさが伝わったワークショップとなりました。

12/22(日)

AI体験DAY

ディープラーニングで遊ぼう・学ぼう
- 小学生向けディープラーニング体験教室

株式会社Preferred Networksによるディープラーニング体験教室では、同社のリサーチャーである丸山史郎さんとエンジニアの西澤勇輝さんが講師を務めました。ワークショップは、ディープラーニングを学ぶこと・仕事の未来を考えることを目的とした、「火星語ほんやく機」「ロボットカー」「仕事の未来」という3つの構成で行われました。

(1)火星語ほんやく機
まず初めに、ディープラーニングを「ものまね算」という独自の言葉に例えて分かりやすく説明しました。
「1をものまね計算機に通すと2になります。2をものまね計算機に通すと4です。では3をものまね計算機に通すと何になるでしょう?」と西澤さんが聞くと、「6!」と子どもたちが答えます。
「正解です!このようにいろいろな例からルールを予測するのがものまね算です。『ディープラーニング』は、ものまね算をする技術の一つです。」と、西澤さんが返し、子どもたちのディープラーニング体験が始まりました。

ディープラーニングがどういったものかを講義で学んだあとはいよいよ実践です。
子どもたちは「火星で使われている0から9までの数字をみんなで考えてみましょう」という課題に取り組みました。星マークや雪だるま等、一生懸命考えた自分だけのオリジナルの数字を5回書いて、アプリに取り込みディープラーニングで訓練するとオリジナルの数字は正しく数字として認識されました!その瞬間、参加した親子からは歓声があがり「じゃあ、真っ黒に塗りつぶすと何の数字に認識されるんだろう?」「ハートを1つなら4なのに、2つ描くと5になった!」というように、様々な図形を描いて数字認識にトライしていました。

(2)ロボットカー
続いてはレゴマインドストームEV3で作成した、3種類のロボットカー(「白かったら右号」「ものまね号」「イメトレ号」)の動きを観察して、ディープラーニングを学びます。
ロボットカーのミッションはライントレース。線に沿った動きをすることです。それぞれのロボットにはカラーセンサーがついていて、「白を認識すると右に進む」という簡単なルールで動くロボットカー「白かったら右号」と、撮影した画像をもとにして動きをディープラーニングで訓練した「ものまね号」が、同じ動きで進みます。
ロボットカーが動きだすと、子どもたちは前のめりになって食い入るようにその動きを見つめます。
「この『ものまね号』を白いシートに移動させるとどのように動くんだろう?」「手でセンサーを隠しても動くかな?」
など、実際にロボットを使って色々な疑問を解決する姿が見られました。
「でもこれって逆向きに回れないよね?逆向きに回るにはどうしたらいい?」と丸山さんが問いかけると、「センサーをもう一個つける!」などの活発な意見が出ていました。
そこで丸山さんが左回りの画像から右回りの画像を「イメトレ」することで逆向きにも回ることができる「イメトレ号」を動かします。仕組みは難しいにもかかわらず、子どもたちは興味津々に見ていました。

(3)仕事の未来
最後に、「AIによって人の仕事はなくなってしまうのか?」をテーマに過去の事例を参照しながら仕事の未来について考えました。
「消防隊員が出動する時、今は自動車だけど昔は馬車で移動していました。現在馬車は使われなくなり、移動手段としての馬を育てる仕事や飼料を作る仕事はなくなりました。しかし、その代わりに自動車の製造や販売、修理する仕事が生まれました。同様に、AIの出現によってなくなってしまう仕事があるかもしれませんが、それと同時にAIや自動化によって新しい仕事が生まれ、そして人の暮らしはより便利に、豊かになっていくのです。」と西澤さんが話すと、お子さんも保護者の方も真剣に話を聞いていました。

「数字認識のすごさがわかった」「色々なことを知って楽しかった」といった子どもたちの声や保護者の方からは「将来の話を聞けてよかった」「今後も子どもには最先端の技術に触れてほしいと思った」といった感想をいただきました。
ディープラーニングや、自動化が普及した未来について考えを深めるワークショップとなりました。

機械学習 × Scratchで
AI(人工知能)アプリケーションを作ってみよう!

2日間にわたって行われたロボ・キャンプ2019の最後を締めくくるのは合同会社つくる社の石原さん、アシスタントの北原さんによるワークショップです。
隣の席の子と2人1組で行われるため、まずはお互いの自己紹介からスタート!
自分の名前や学年、好きなことを話して距離を縮めます。
自己紹介のあと、最初に行ったのは、Webカメラで撮影した「グー」「チョキ」「パー」の写真を使ったじゃんけんです。ペアの子の手を撮影し、クリックするとグー・チョキ・パーのどれかが表示されるプログラムをScratch上で作成しました。
高速で表示される手の写真を「じゃんけんぽん!」のタイミングで止めてじゃんけんを行います。
初めて作ったじゃんけんプログラムを、何度も試し、子どもたちは笑顔で楽しんでいました。

次に画像認識を使ってEV3を動かすプログラミングの方法を学びます。
例えば、「カメラにグーを見せると、前進しているEV3が停止する」というプログラムを作るために様々な距離、角度から撮影した20枚のグーの写真をScratchに教えました。

最後に、これまで学んだことを用いて、オリジナルのプログラムを作成しました。
ペットボトルを認識すると停止するプログラムや、「右を指すと右に進み、左を指すと左に進む」といった手の動きによってEV3を操作するプログラム、カメラに映った人によってEV3の動きが変わるプログラムなど、個性あふれた様々なプログラムが完成しました。
画像認識の精度を上げるために、カメラを固定して撮影したり、白い天井を背景にして撮影したり、手より認識されやすい水筒・筆箱を使ったりするなど、工夫をこらした作品が多くみられました。

「使いこなすと、『こんなもの』『あんなもの』『こうしたい…』とアイディアが浮かぶ子供の頭の柔らかさに驚いた」という保護者の方の感想の通り、参加した子どもたちそれぞれのアイディアが光る作品となりました。

未来ツリー

ロボ・キャンプが今年20周年を迎えるにあたり、設置された未来ツリー。
参加者の皆さんが「20年後の未来はどうなっているんだろう?」と想像したことがクリスマスのオーナメントとなって飾り付けられました。
ロボ・キャンプ2019に参加した皆さんは一体どんな未来を思い浮かべたのでしょうか。

  • 楽しく勉強ができそうですね!

  • いつもきれいな植物に囲まれた生活になりますね!

  • いつでも好きな時に宇宙に行けるようになりますね!

他にもたくさんの未来予想図が飾られており、素敵な未来ツリーが完成しました!
ご参加くださった皆様、ありがとうございました!

開催後記

今年は、述べ87組の方にご参加いただきました。誠にありがとうございます。
主催者としまして、お子さんと保護者の方がともにプログラミングや制作を楽しむ姿はとても嬉しいものでした。
ご参加いただいた方々にとって、「ロボ・キャンプ2019」が未来について考えるきっかけとなればと思います。
また本年は開催20年目の記念となる年でした。これまで続けてこれたのはご参加いただいている皆様のおかげです。
次はロボ・キャンプ30周年を目指し、今後もプログラミングでの教育支援に取り組んでまいります。

お礼

ご協力企業ならびにご後援関係の皆さまには、日頃より私たちの活動へのご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。
2019年12月21日、22日に開催いたしました「ロボ・キャンプ2019」につきまして、ご協力企業ならびにご後援関係の皆さまのご支援、ご協力をお願いいたしましたところ、快くご賛同いただき、厚くお礼申し上げます。
お陰様をもちまして、ロボ・キャンプ2019は盛況のうちに無事終了することができました。
これもひとえに皆さまからいただきました絶大なるご協力の賜物であり、心より感謝とお礼を申し上げます。
今後ともご支援、ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

協力

株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
株式会社Preferred Networks
合同会社つくる社(順不同)

後援

未来の学びコンソーシアム
福井県教育委員会 福井市教育委員会
福井新聞社 FBC 福井テレビ (順不同)

主催

  • Afrel
  • 福井工業大学