2025年1月27日

022-1.SPIKE&AIカメラ入門-第1回「AIカメラの下準備」

この連載では「レゴ エデュケーションSPIKEプライム(以下、SPIKE)」と「ハスキーレンズ(HuskyLens)」を組み合わせたロボットの作り方を紹介したいと思います。ハスキーレンズとはDFROBOT(Zhiwei Robotics Corp.)というメーカーが開発した特殊なカメラ(AIカメラ)です。このカメラを使って、物体追跡、物体認識、ライン追跡などの機能を備えたロボットを作ってみましょう。(文/松原拓也)

◆ ハスキーレンズとは

こちらがハスキーレンズのセット内容です。メイン基板、ねじ&ナット、ブラケット、Gravity 4pin センサーケーブルが含まれています。
秋月電子通商の場合、ハスキーレンズの価格は税込7400円です(2022年11月現在)。
ハスキーレンズの基本的な情報については、メーカーのWikiページを読むことをオススメします。ページのURLは以下のとおりです。
https://wiki.dfrobot.com/
HUSKYLENS_V1.0_SKU_SEN0305_SEN0336

ハスキーレンズには次の7つの機能があります。
・顔認識(Face Recognition)
・物体追跡(Object Tracking)
・物体認識(Object Recognition)
・ライン追跡(Line Tracking)
・色認識(Color Recognition)
・タグ認識(Tag Recognition)
・物体分類(Object Classification)
機能盛りだくさんです。元々の機能の名前は英語なので、日本語に翻訳しています。

これがメイン基板です。
基板には「Kendryte K210」というプロセッサ(64bitデュアルコア)やカメラ(2メガピクセル)が付いています。裏面には液晶パネル(2インチ)が付いています。

まずはラージハブに接続せず、ハスキーレンズ単体で動かすことにします。USBケーブル(マイクロB)とUSB電源アダプタを用意します。

そのままでは基板が持ちにくいので、スタンドを自作してみます。
SPIKEプライム基本セットのパーツと直径3mm・長さ15mmのねじ、ナット、ワッシャーを用意します。ねじ類はホームセンターなどで売っています。

スタンドを組み立てると、こうなりました。
このままだと縦方向の角度を変えらないので、ちょっと不便に感じます。次回には使いやすくなるように改良したいです。

◆ 物体の追跡

USB電源アダプタを接続すると、ハスキーレンズが起動します。電源ボタンはありません。
基本的な操作は「機能ボタン(function button)」で行います。機能ボタンを左右に倒すと項目を選択できます。機能ボタンを下方向に押すと項目の「決定」です。

まずは練習として、機能ボタンで「Object Tracking(物体追跡)」を選択してみましょう。まだ学習を行っていないため、選択しても何も起こりません。

続いて、機能ボタンを下方向に長押しします。短く押すのではなく長く押します。すると、このように細かいパラメータが設定できます。
そして、「Learn Enable(学習有効化)」の項目を「ON」にします。写真のようにスイッチを右側(青色)の状態します。設定が終わったら、「Save & Return(セーブ&戻る)」を選択して、決定します。これで設定内容が保存されます。電源を入れ直しても設定内容は残ります。

物体を学習します。被写体は何でもかまいませんが、この例では、ミニフィグを撮ることにします。
学習させたい物体を画面の黄色い四角形の中に入れて、「学習ボタン(learning button)」を長押しします。学習ボタンを押している間は学習が続きます。メーカーwikiページによると、学習中は物体の角度やきょりを変化させると良いようです。
この学習により、どのような処理を行っているのかは不明です。処理が一瞬で完了してしまうので、ディープラーニングの技術は使っていないのではないでしょうか

学習ボタンを放すと、すぐに物体追跡が始まります。
「LearningID1」という四角形が物体を追いかけるように表示されたら成功です。学習した内容は電源を入れ直しても残ります。

もし、学習内容を消したいという場合には、学習ボタンを2回連続で短く押します。学習ボタンを1回押しただけだと、学習内容は消えません。ちなみに「Forget」というのは「忘れる」という意味です。

当ブログの内容は、弊社製品の活用に関する参考情報として提供しております。
記載されている情報は、正確性や動作を保証するものではありません。皆さまの創意工夫やアイデアの一助となれば幸いです。