こちらは前回作成したライントレースのプログラムです。
このプログラムの中では「int」という関数を使っていました。しかし、その意味がわかりにくかったように感じましたので、今回は少し掘り下げて紹介します。

Pythonにおける重要な要素が「型（かた）」です。型というのは、データを扱う形式のことです。
関数を呼び出すとき、引数を正しい型に合わせておく必要があります。
たとえば、ヘルプ（ナレッジベース）を使って、「モーターペア」→「start_tank_at_power」関数の項目を見てみましょう。 引数のところに「タイプ：integer」と書かれています。これは「引数がinteger型である必要があります」という意味です。 その下の「エラー」「TypeError」と書かれていますが、これは「引数がinteger型でない場合、エラーが出てプログラムが動きません」という意味になります。
integer（インテジャー）型とは整数の型のことです。整数とは「1」「2」「3」のように少数を含んでいない数のことです。Pythonの場合、「変数 = 1」などのように数を整数で記述すれば、変数は自動的にinteger型に設定されます。

引数だけではなく、戻り値にも型があります。
たとえば、これは「get_reflected_light」関数の戻り値ですが、「整数」と書かれています。書式が統一されていないので、混乱してしまいますが、これはinteger型という意味です。

C言語やJavaScriptの場合、変数の型を宣言する必要があります。しかし、 Pythonでは宣言が必要がありません。いきなり「変数 = 値」と記述すると、変数の型が自動的に決まります。
たとえば、「syousu = 1.23」と記述した場合、float型の変数が作られます。 float（フロート）型というのは浮動小数点の型のことです。浮動小数点とは何かと技術的に説明すると大変なので、ここでは単純に少数のことだと考えてください。
このプログラムを実行すると、ライトマトリクスに「1.23」という文字がスクロールしながら表示されます。ちなみにここで使っている「write」関数はどんな型(文字列、整数、少数)でもエラーが出ずに表示ができてしまいます。

関数を使って、データの型を変更することができます。
たとえば、「int」という関数を使うと、少数→整数（float型→integer型）に値を変換することができます。
たとえば、このプログラムの場合、「1.23」という値が「1」に変換されます。ライトマトリクスには「1」とだけ表示されます。少数部分の「0.23」は消えてなくなります。

「float」という関数を使うと、整数→少数（integer型→float型）に値を変換することができます。
たとえば、このプログラムの場合、整数の「1」を少数の「1.0」に変換しています。ライトマトリクスには「1.0」とスクロールしながら表示されます。値としては何も変わっていませんが、変数の型が変わっています。

他にも、「type」という関数を使うと、変数の型を調べることができます。これは変数の中身がわからない場合に有効です。 このプログラムの例では、変数に「1.23」という数値を格納してから、変数の型を調べています。結果、ライトマトリクスに「＜class 'float'＞」と表示されました。float型（浮動小数点型）であるという意味です。