2024年12月17日
014-1.WeDo2.0スクラッチ入門-第1回「スクラッチを使う準備をする」
この連載では「レゴ WeDo 2.0(以下、WeDo 2.0)」と「Scratch(スクラッチ)」を使ってプログラミングの方法を紹介します。なお、「WeDo 2.0 ソフトウェア」を使ったプログラミングの方法については、すでに「WeDo 2.0入門」で紹介していますので、そちらをご覧ください。(文/松原拓也)
◆ スクラッチとは
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プログラミングには「WeDo 2.0」が必要です。「WeDo 2.0」は「レゴ WeDo 2.0 for home by アフレル」という名前で家庭向けにも販売されています。
次に必要なものが「パソコン」です。今回はスクラッチでWeDo 2.0を動かすため、Windows10かMacのパソコンが必要です。AndroidやiPadなどのタブレットは残念ながら使用できません。
※Windows10のバージョンによってはスクラッチとWeDo 2.0がつながらない事があるので、OSは最新の状態にしておきましょう。
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ここで、スクラッチとは何かについて紹介します。 スクラッチはMITメディアラボのライフロング・キンダーガーテン・グループによって開発されたプログラムの開発環境です。スクラッチは教育向けとして開発され、無料で使うことができます。MITメディアラボは米国のマサチューセッツ工科大学にある研究所です。マサチューセッツ工科大学はレゴ マインドストームを共同で開発していたりと、レゴ社と特に関係の深い場所でもあります。
スクラッチはブロックの命令を組み合わせるだけで、直観的にプログラムを作ることができます。さらに拡張機能を追加することでWeDoやWeDo 2.0を制御することができます。
WeDo 2.0のプログラミングにはレゴ エデュケーションが公開している「WeDo 2.0 ソフトウェア」を使う方法が一般的だと思います。そこで、WeDo 2.0 ソフトウェアとスクラッチの違いを比べてみましょう。
《WeDo 2.0 ソフトウェア》
・プログラムの形式:アプリとして動作
・画面の制御:×
・変数:×
・関数:×
・分岐処理:×
《スクラッチ》
・プログラムの形式:Webブラウザ上で動作(オフライン版もあります)
・画面の制御:〇
・変数:〇
・関数:〇
・分岐処理:〇
WeDo 2.0 ソフトウェアに比べると、スクラッチは命令の種類がたくさんあります。短所としてはWebブラウザで動作するため、インターネットにつながっていないと動作しないということです。なお、スクラッチにはインターネットに接続しなくても動作する「オフライン版」が存在するのですが、筆者が確認したところでは、WeDo 2.0の拡張機能がなぜか動作しませんでした。
パソコンで高機能なプログラムを作りたい場合にはスクラッチを使い、タブレットで手軽にプログラミングしたい場合にはWeDo 2.0 ソフトウェアを利用すると良いでしょう。
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スクラッチを使うためのアカウントを作りましょう。 アカウントは無くてもプログラムを作ることは可能ですが、 作ったプログラムを公開したい時にはアカウントが必要になります。
Webブラウザを起動してスクラッチの公式サイト(https://scratch.mit.edu/)を開きます。
「Scratchに参加しよう」ボタンをクリックして、ユーザー名やパスワード、生年月日、メールアドレスなどを入力します。
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アカウントが出来たら「サインイン」をクリックして、ユーザー名やパスワードを入力します。入力を済ませると、2度目には入力する必要はなくなります。
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Windowsの場合のみですが、最初にWeDoスマートハブのペアリングを済ませておきましょう。ペアリングというのはパソコンにBluetooth機器を登録する作業のことです。Windowsのスタートメニューから「設定」→「デバイス」→「Bluetooth~」→「Bluetoothまたはその他のデバイスを追加する」を選択します。そして、WeDoスマートハブの緑色のボタンを長めに押して、電源を入れます。最後に「LPF2 Smart Hub 2 I/O」という文字をクリックすると、ペアリングは完了します。
◆ スクラッチ・デバイスマネージャをインストールする
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まだ準備が続きます。スクラッチでWeDo 2.0を制御するには「デバイスマネージャ」というツールをインストールする必要があります。デバイスマネージャを入手するにはWebブラウザを使って専用のページ(https://scratch.mit.edu/wedo)を開いて、赤ワクの部分をクリックします。
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パソコンのOSがWindowsかMacかによって「デバイスマネージャ」のインストール方法が違います。 Windowsの場合は「ScratchDeviceManager~.exe」というインストーラを実行します。
Macの場合はApp Storeを実行してインストールを行います。「入手」というボタンを押してインストールを開始します。
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デバイスマネージャを実行する方法は次のとおりです。
Windowsの場合はスタートメニューから「Scratch Device Manager」を選択して実行します。Macの場合はFinderの「アプリケーション」から実行します。
デバイスマネージャが実行できたら、あとはしばらくそのままにしておきます。
◆ Webブラウザの設定
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まだスクラッチを使うための準備が続きます。 パソコンのWebブラウザで公式サイト(https://scratch.mit.edu/)を開きます。
そして、画面の上部にある「作る」ボタンをクリックします。
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ここでFlashを実行するための許可を求められることがあります。その場合には「許可」のボタンをクリックします。Flash(フラッシュ)というのはアドビという会社が開発しているWebブラウザの拡張機能の1つです。スクラッチ自体はFlashで動作しています。
使用するブラウザの種類によってはFlash Playerのインストールをすすめられますが、その場合にも許可を行います。
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理由は様々ですが、Flashという技術は昔ほど利用されていません。Webブラウザの初期設定ではFlashの実行は許可されていません。
WebブラウザがGoogle Chromeの場合、この赤ワクの部分をクリックするとFlashが許可されているかどうかを確認することができます。
◆ 機能拡張を追加
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これでスクラッチが利用できる状態になりました。
この時点ではまだWeDo 2.0の命令が追加されていません。そこで、WeDo 2.0の命令が使える状態にします。
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初期設定のままではWeDo 2.0用のブロックは表示されていません。そこでスクラッチの機能を追加します。 「スクリプト」タブの中にある「その他」をクリックして、「拡張機能を追加」ボタンを押します。するとハードウェアの選択画面が表示されますので、「LEGO WeDo 2.0」を選択して「OK」をクリックします。これでWeDo 2.0に関係するブロックが使えるようになります。
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機能を追加した時点でデバイスマネージャの表示がこのように切り替わります。ここでは電池を節約したいので、まだ接続しないでそのままにしておきます。
◆ WeDo2.0スマートハブのライトの色を変える
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WeDoスマートハブが正しく動作するかを確認してみましょう。
この写真のように4つのブロックを縦方向に並べます。ブロックはマウスを使って、ドラッグ&ドロップすることで並べることができます。「set light color to~」はWeDoスマートハブのライトの色を変更するためのブロックです。
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プログラムを実行してみましょう。
まず、デバイスマネージャの「Connect」のボタンを押します。 続いて、WeDoスマートハブの緑色のボタンを少し長めに押して、WeDoスマートハブの電源を入れます。Bluetoothによる接続が成功すると、「Ready to use~」と表示され、WeDoスマートハブのライトが青色になります。
もし、接続に時間がかかりすぎるとライトが消えてしまいます。その場合には、緑色のボタンを押して電源を入れ直すことによって、接続を続けることができます。
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プログラムを実行してみましょう。画面上の「緑色の旗」のアイコンをクリックするか、「(緑の旗)がクリックされたとき」ブロックをクリックします。
実行すると、写真のようにライトが1秒間だけ赤色に点灯します。ブロック内の数値を変更することによってライトの色を変えることができますので、ぜひ試してみましょう。
◆ プログラムの保存
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プログラムの保存方法は2つあります。
1つはネットワークを通じてスクラッチのサーバ内に保存するという方法です。保存はサインイン時は自動的に行われます。このため、自作のプログラムが間違って消えてしまうということがありません。
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もう一つはローカルのパソコン内に保存するという方法です。メニューから「ファイル」→「手元のコンピューターにダウンロード」を選択することで保存できます。 保存したファイルを別のパソコンにコピーして動かすこともできます。ファイルの拡張子は「.sb2」です。
以上でスクラッチを使うための下準備は完了しました。次回は本格的にスクラッチを使ってみたいと思います。
[movie]WeDo 2.0スクラッチ入門の動画(Youtube)
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