2024年11月12日
002-3.エレキ入門-第5回「ランプ」
レゴマインドストームを「電気」という視点で紹介するというコーナー、名付けて「エレキ入門」です。電気の知恵をロボット作りに生かしてみましょう。
今回は教育用レゴマインドストームに付いてくるけどリテール版(一般用)には入っていないという部品、、、「ランプ」についてです。
普段はあまり使わないような気もしますが、なかなか面白い性質を持った部品なので紹介したいと思います。(文/松原拓也)
◆ ランプのしくみ
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こちらが教育用レゴマインドストームに付いてくる「ランプ」。電気を流すと光る部品です。 「LED」ではなく、小型の豆電球が使われているようです。
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このランプの構造を図にしてみました。豆電球の中には「フィラメント」というコイル状の電熱線が入っています。
この線に電気を流すとフィラメントが熱せられて光を発しますが、球体の内部は真空なので燃えない仕組みになっています。
なお、電気の流し方には「直流」と「交流」の2種類があります。直流だと一方通行に電気は流れたまま、交流だと交互に逆方向に電気を流します。
マインドストームのランプは「交流」で光らせています。
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「交流」を使った身近なものとしては、一般家庭用の電源(コンセント)があります。コンセントから流れてくる電気は交流(AC)の100Vです。これは約+141Vと-141Vの電圧が1/60秒という早い時間で切り替わった電気のことです。
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ちょっと難しい話になりますが、マインドストームのランプ用の電気と一般家庭用の電気では、同じ「交流」でも波形が大きく違います。
ランプ用の電気は0~約7.5Vの範囲で切り替わり、マイナスの電圧がありません。さらに波形は丸くなくて角張っています。これはマイコンで制御をする都合上のもので、気にしなくて問題ありません。
◆ 単体でランプを光らせる
ランプを単体で点灯させてみたいと思います。
以下の方法はメーカーの保障していない使い方なので、真似をしないでください。
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本来は交流で光らせるところを直流で光らせます。まず、ランプに1.2Vの電池をつなぐと、うっすらと点灯しました。
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そして、電池の数を増やしていくと、適度な明るさになりました。
直流は交流よりも豆電球に負担をかけます。ポート出力の電圧が7.5Vだとすると、7.5V÷1.41=約5.3V。5.3Vくらいまでが直流時の電圧の限界ということになります。
ニッケル水素電池4本だと電圧は約4.8Vで、範囲内です。
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ランプに電流がどれくらい流れるか? 測定してみました。
テスタ(マルチメータ)で計測してみたところ、結果は20.9mA。大きめのLEDと変わらないくらいの電流です。思ったより電気を食っていませんでした。
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では、ランプを増やしたらどうなるか? ためしてみました。
結果は41.2mA。ほぼ2倍の電流になりました。ランプの明るさは変わっていません。
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これを図にすると、このようになります。
ランプをポッチにつなげると、並列につながります。並列になることで、電流が2倍になったわけです。「並列」「直列」については小学校3年の理科で習う範囲だと思います。
◆ ランプの明るさのコントロール
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いよいよNXTインテリジェントブロックを使って、プログラムでランプを点灯させてみます。
変換ケーブルを使って、出力ポートAにランプをつなぎます。
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NXTソフトウェアを使って、「ランプ」ブロックを置きます。
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ランプブロックの設定です。
設定に「強度」という項目があることに注目です。この強度とは、ランプの明るさのことです。ここではパワーと呼ぶことにします。
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そのままランプを光らせるだけでは面白くないので、ボタンを押したらパワーを変更できるようにしました。
ランプのパワー設定プログラム(教育用NXTソフトウェア2.0で作りました)「program1.rbt」
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ちなみに「ランプ」ブロックを「モーター」ブロックに変更すると、モーターのパワーを変更することができます。
その場合、ポートAにはモーターをつなぎます。モーターのパワーについては、あとで紹介します。
モーターのパワー設定プログラム(教育用NXTソフトウェア2.0で作りました)「program2.rbt」
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プログラムを実行します。
パワーの値は0~100までが有効です。
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右と左のボタンを押すと、ランプの明るさが変わります。
◆ パワーを調節するしくみ
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いったいどうやって明るさを変えているのか?
図にするとこうなりました。インテリジェントブロックのポート出力には「ON」か「OFF」の2種類しかありません。ONの時には7.5Vくらいの電圧(バッテリの状態で変わります)が出て、OFFの時には0Vの電圧が出ます。
そこで、ONとOFFをものすごい速度で切り替えることで、その中間の電圧を作り出しています。
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確かめるために、オシロスコープをつないでみました。ランプの裏側に測定用の端子(プローブ)を当てます。
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10%の時と50%の時の測定値を比べてみました。見比べてると、ONとOFFの比率が変わっていることに気付きます。ONの量が増えるほど電気は多く流れます。 一度ONになってから再びONになるまでの時間は1.25ミリ秒でした(これを「周期」といいます)。「1.25ミリ秒」というのは、1000分の1.25秒です。想像もつかないほどの早さということになります。
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では、ONの量が増え続けるとどうなるか? 測定してみました
こちらが90%と100%の場合の測定結果です。100%だと、ついにONだけになり、一本の線になってしまいました。
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最初のほうで書きましたが、ランプはONの時に「交流」で光らせています。
ただし、通常の交流と違って、NXTの回路にはマイナスの電圧がありません。そこで、0Vと約+7.5Vを高速に切り替えることで交流を作り出しています。
つまり、二重でONとOFFが切り替わっているわけです。この概念を理解するのは、難しいですね。
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テスタを使って、電圧を測定してみました。 上がモーターの電圧を測定したグラフ(program2)で、下がランプの電圧を測定したグラフ(program1)です。どちらもきれいに一直線になりました。 モーターもランプも電圧(電流)で強さをコントロールしているということが分かります。 ちなみに下のグラフは電圧が大きすぎなのですが、これはテスタの設定の問題で、実際にはこの半分の電圧になっています。
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