2024年11月11日
002-2.メカメカ入門-第4回「自由に曲がれる車作ろう – その2」
あづいネ!!
私の新しい本が出た。
その名は「ブロックで作るキカイの本」!
去年リリースした「LEGO Technic 虎の巻」というPDFブック(パソコンの画面で見る本)をベースに、
いくつか作例を追加して、やさしい日本語の解説を加えた。
「ブロックで作るキカイの本 回る・伝える・きほんのしくみ」
「ブロックで作るキカイの本 走る・曲がる・車のしくみ」
「ブロックで作るキカイの本 歩く・いろいろ・ふくざつなしくみ」
の3冊に分かれている。1冊2709円。
特に読む順番はついてない。
まとめて買うとちょっと高いから、本屋さんで開いてみて、おもしろそうな作例がのっている
本から買えばいいんじゃないかな。
詳しくは↓を見てね。
http://www.isogawastudio.co.jp/legostudio/bookintroduction.html
(文/五十川芳仁)
さて、今回は前回に引き続き左右に自由に曲がれる車を作る。
前回はシンプルなしくみのものだったけど、今回はもう少し本物の車に近くてカッコいいのを作る。
まず、それっぽい動きをする前輪部分を作ってみよう。
この状態で、ちょっと動かしてみよう。プログラムはおまかせする。
モーター直結だから、モーターのパワーは低め(20ぐらい)にすること。
じゃないと、しくみがこわれるか、モーターにムリな力がかかってしまう。
タイヤの向きが、左右に動くことが確認できたかな?
これに後輪をつけて、NXTをのっけるとこうなる。
後輪が1輪なのにはワケがある。これはあとで説明する。
まずは、ちゃっちゃか作ってみよう。
ケーブルを外したところ。
さらにNXTもとりはずすとこんな感じ。
ついでに、さっきの前輪部分を取り外すと、後輪部分だけになる。
で、次のようなプログラムを作れば、左右に向きを変えながら、うにうにと走る。
Aポートには後輪のモーターを、Bポートには前輪のモーターをつなぐ。
Aのパワーは50で、継続時間は無限。
Bのパワーは20で、継続時間は1秒にしている。
その理由を説明する。
まず、下の写真に注目。
こんなふうに車が曲がるとしよう。
後輪部分だけをとりだして、その動きを見てみよう。
曲がったとき、外側になるタイヤは、むらさき色の線の長さを走ることになる。
一方、内側のタイヤは青い線の長さを走る。
あきらかに走る長さがちがうよね。
タイヤの直径は同じだから、外側の内側とタイヤで回転する量が違っているということになる。
さて、たとえば写真のようにモーターにタイヤを付けたとしよう。
2つのタイヤはシャフトでつながっているから、タイヤはどちらも同じ量の回転しかしない。
まっすぐ走るときはまったく問題ない。
でも、曲がろうとすると、とたんに問題が発生する。
内側と外側のタイヤが同じ量しか回転しかしないということは、両方のタイヤの走る長さは同じ長さになる。
これじゃあ曲がれない。
強引に前輪で向きを変えて、ムリに曲がれば、外側、内側どちらかのタイヤがスリップすることになり、とても効率の悪い車になってしまう。
さっきの車は、この問題を解決するために「1輪」にしたんだ。
1輪なら、「外側、内側」という問題が起こらないから、スムーズに曲がれる。
でも、前後輪合わせて3輪車になるため、バランスがとても不安定になる。
高速で曲がろうとすると、横転しちゃう。
後輪もちゃんと2輪にするときには、「ディファレンシャルギア」というものを使う。
残念ながら、MINDSTORMS NXTの基本セットには入っていない。
教育用の拡張セットに入っている部品だ。
このギア、ちょっとカッチョいいでしょ。
このギアを使って実験してみよう。写真のようなものを作ってほしい。
できた?
できたら、このモーターをNXTにつないで、このモーターを回し続けるプログラムを作って転送。
パワーと向きはご自由に。
こんな向きにマシンを置いて、プログラムをRUN。モーターが回りはじめたら実験開始。
左右に付けたの24歯ギアがタイヤだと思ってちょうだい。
何もしないとき
左右のタイヤは、同じ早さで回っているね。
これは、車が直進するときの状態だ。
両方のタイヤを止めてみる
手で左右両方のタイヤをおさえて、回転を止まるか確かめよう。
両方のタイヤを同時に止めることはできないことがわかるね。
片方のタイヤを止めると
今度は、右側のタイヤだけをおさえて、回転を止めてみて。
右側のタイヤが止まると、左側のタイヤの回転が速くなるのがわかるはず。
速さは2倍になっているんだ。
左側のタイヤを止めたときも、同じ動きになることを確認しておこう。
片方のタイヤのスピードを遅くすると
今度は、右側のタイヤにそっとふれて、止まらないぐらいにスピードを遅くしてみて。
右側の回転が遅くなった分だけ、ビミョーに左側の回転が速くなるはずだ。
実は、この状態こそ「左右の回転する量が違う=左右のタイヤの走る長さが違う」という車が
曲がるときの状態なんだ。
ディファレンシャルギアは、このように「モーターの回転を、左右のタイヤにうまくふり分ける」という仕事をしている。
今、きみの回りを走っているほとんどすべての車に、このディファレンシャルギアが入っている。
(カーブを曲がれない車じゃ困るもんね‥)
ディファレンシャルギアの役割は理解できたかな?
今回はここまで。
来月は、このディファレンシャルギアを使った車を作ってみよう。
当ブログの内容は、弊社製品の活用に関する参考情報として提供しております。
記載されている情報は、正確性や動作を保証するものではありません。皆さまの創意工夫やアイデアの一助となれば幸いです。