2024年11月11日
002-2.メカメカ入門-第1回「ギアが生み出すパワーとスピード」
元気? ども、マイスターの五十川(いそがわ)です。
今月からはじまるこの「メカメカ入門」では、LEGO MINDSTORMS NXTの部品を使って、さまざまなメカニズム(日本語で書くと「機械工学」ってやつだな)を説明していく。
楽しく遊んで、ためになる そんな教室にするつもりだから、応援よろしく。
さて、1回目はメカニズムの基本ともいえる「ギア」のお話。
車を使って実験だ。では、さっそくスタート。
まず、写真のように車の本体を作ってくれ。いろんな方向からの写真をのせるから、少し頭をひねれば同じものが作れるはず。がんばれ。(文/五十川芳仁)
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これにタイヤを付けるとこうなる。
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さらにNXTをのせてBポートとモーターをケーブルをつなぐ。これで車の基本形の完成だ。
NXTソフトウェア(教育用NXTソフトウェア)を起動して、新しいプログラムを開き、
[モーターブロック]ひとつだけのプログラムを作る。
モーターブロックのポートを[B]にして、持続時間を[5秒]に設定。
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これをNXTにダウンロードしてRUNすると、5秒間、車が前進する。
ここで、この車の走るスピードを目で覚えておいてほしい。
また、走っている車の前に手を出し、車を止めて、車が手を押す力「パワー」も手の感覚で覚えておいてほしい。
次にプログラムを、次のように変更する。
パワーを[75]から[25]に変更して、ダウンロード&RUN。
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どう?ずいぶんスピードがゆっくりになったね。
さっきと同じように、車を手で止めてみて。パワーもかなり弱くなったのがわかるよね。
このようにプログラムの[モーターブロック]のパワーの設定で、車のスピードとパワーをコントロールすることができる。
パワーの数値を大きくすれば、スピードもパワーもアップ。小さくすればスピードもパワーもダウン。
でも、「スピードはゆっくりでいいから、パワーはたっぷりほしい」というときはどうする?
たとえば、急な坂道をゆっくり登らせたいときもそうだし、いろんな障害物がばらまかれた悪路を走るときもそう。
さらに[モーターブロック]のパワーを最大にしてもパワーが足りないときはどうする?
あるいは、[モーターブロック]のパワーを最大にしてもスピードが足りないときはどうする?
こんなときに「ギア」を使うんだ。
ギアは、おもしろくて奥が深いぞ。じゃ体験してみよう。
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まずは、プログラムのモーターブロックのパワーを[25]から[75]に戻して、方向を[↑]から[↓]に変更した後、NXTにダウンロードしておいてくれ。
まだ、RUNはしなくていいぞ。
次に、さっきの車のモーターの先端部を写真のように改造する。
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ギアのギザギザのことを「歯」と呼ぶ。ひとつのギザが1歯。ギアに付いている歯の数は「歯数」。
ここでは16歯のギアを2個使っている。
ギアのギザギザのことを「歯」と呼ぶ。ひとつのギザが1歯。ギアに付いている歯の数は「歯数」。
ここでは16歯のギアを2個使っている。
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これに、タイヤとNXTを付ければ完成だ。
はい、RUNしてみて。
さっきのパワー[75]のときと全く同じスピードとパワーで走る。
ポイント:回転を伝える2つのギアが、同じ歯数のときは、スピードもパワーもまったく変わらない
変わるのは回転方向だけ。(だからさっきプログラムの[↑]を[↓]に変えたんだ)
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次に、大きなタイヤをはずして、2つの16歯ギアを取り去り、このように8歯ギアと24歯ギアを付ける。
タイヤを元に戻して、RUN。
ずいぶんスピードが遅くなったのがわかるね。
じゃ、車を手で止めてみて。すごくパワーがあるのがわかるかな。
(パワーがありすぎてギアがガリガリ空回りするかも‥)
ポイント:小さいギアで、大きなギアを回すとき、スピードはダウンするかわりに、パワーはアップする
具体的には、2つのギアの歯数の比にしたがってスピードとパワーが変化する。この場合は、8歯ギアと24歯だから、8:24=1:3。
つまり、スピードは1/3になるかわりに、パワーは3倍になっていることになる。
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続いて、再び大きなタイヤをはずして、2つのギアの順番を変えてみよう。
タイヤを付けて、RUN。
今までにないスピードで走ったかな。
同じように車を手で止めてみて。あまりパワーは感じないね。
ポイント:大きなギアで、小さなギアを回すとき、スピードはアップするかわりに、パワーはダウンする
この組み合わせの場合、スピードは3倍、パワーは1/3になっている。
さて、ギアの原理、少しは体感してもらえたかな。
ここで紹介した「ポイント」は、車を作るときだけじゃなく、いろんなしくみを作るときに応用がきくから、ぜひ覚えておいてほしい。
では、また来月。
当ブログの内容は、弊社製品の活用に関する参考情報として提供しております。
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