2024年12月23日
015-1.EV3で楽しむスクラッチ3.0-第1回「スクラッチを使う準備」
ここでは「スクラッチ(Scratch)」を使ってレゴ マインドストームEV3のプログラミングを行う方法を紹介します。スクラッチとはMITメディアラボという研究施設のライフロングキンダーガーテングループによって開発されているプログラムのツールです。スクラッチの特徴としては、教育向けに作られていて親しみやすいこと、無償で使えること、Webブラウザでも動作すること、直観的にプログラムが作れることなどがあります。(文/松原拓也)
◆ スクラッチが3.0にバージョンアップ
2019年1月からスクラッチが新しくなり、バージョンが3.0になりました。そこで、古いスクラッチを「スクラッチ2.0」、新しいスクラッチを「スクラッチ3.0」と呼ぶことにします。
こちらがスクラッチ3.0の画面です。パッと見ただけでは、スクラッチ2.0との違いが分からないかもしれません。両者の大きな違いは動作の仕組みです。スクラッチ3.0はFlashを使わず、HTML5という技術を使って動いています。このため、実行を許可するかどうかという確認画面が表示されなくなりました。スマートフォンやタブレットでも動作するようになりましたので、利用の範囲がさらに広がったといえます。
EV3のプログラミングはスクラッチ2.0の頃から可能でしたが、拡張機能が個人ベースで作られていて、環境設定には少し手間がかかっていました。しかし、スクラッチ3.0からは公式の拡張機能の1つとして登録されていますので、クリック1つで手軽にEV3のプログラミングを始めることができます。この拡張機能はインターネットから切断されていると使うことができないという難点があります。このため、現時点ではオフライン版Scratch(Scratch Desktop)ではEV3のプログラミングはできません。
次のものを用意しましょう。
・インテリジェントブロックEV3。
・パソコン(OSはWindows10 または macOS10.13以降)。
・Webブラウザとインターネットの接続環境。
スクラッチの使い方は次のとおりです。 パソコンのWebブラウザを使い、スクラッチの公式ページ(https://scratch.mit.edu/)を開きます。
この画面で「作る」をクリックすると、すぐにプログラミングを始めることができます。
作成したプログラムを保存したいという場合には、サインインをしておきましょう。サインインをするにはユーザー登録が必要です。 ユーザー登録をするには「Scratchに参加しよう」をクリックして、ユーザー名を登録します。
◆ Windowsの場合
下準備として「Scratch Link」をインストールします。 Scratch LinkはインテリジェントブロックEV3と通信を行うためのツールです。
まず、Webブラウザを使って、こちらのページ(https://scratch.mit.edu/ev3/)を開きます。 対応するOSは「Windows10」か「macOS10.13以降」だけです。残念ながら、タブレットやスマートフォンではインテリジェントブロックEV3にプログラムを転送することができません(プログラミングはできます)。
OSがWindowsの場合のダウンロード画面です。 なお、このScratch Linkはレゴ WeDo 2.0(スマートハブ)にも使うことができます。スクラッチ2.0の頃はスマートハブとの通信に、「Scratch Device Manager」というツールを使っていましたが、スクラッチ3.0からはScratch Linkを使うように変更されました。
インストール方法は2種類ありますが。筆者の場合はMicrosoft storeを使ってインストールします。
自動的にストアが立ち上がりますので、「入手」ボタンを押します。
インストールが完了すると、スタートメニューに「Scratch Link」という項目が追加されました。
初めてScratch Linkを実行した場合、このような警告の画面が表示されます。ここでは「アクセスを許可する」ボタンをクリックします。
実行すると、インテリジェントブロックEV3との通信の待機状態になります。Scratch Linkは常駐型のソフトウェアなので、操作の必要はありません。
◆ Macの場合
Macを使っている場合、ダウンロードの画面はこうなります。 インストール方法は2種類ありますが、ここではApp Storeを使ってインストールを行います。
自動的にApp Storeが開かれますので、「入手」ボタンを押します。
インストールが終わると、アプリケーションのウインドウに「Scratch Link」が登録されます。これを実行すると、インテリジェントブロックEV3との通信の待機状態になります。
以上で下準備は完了です。
◆ Bluetoothの接続
インテリジェントブロックEV3に接続してみましょう。
インテリジェントブロックの電源を入れます。あらかじめ、Bluetoothの設定をしておきます。 メニュー内の「Bluetooth」のチェックボックスをオンにします。
続いて、VisibilityとBluetoothのチェックボックスをオンにします。 iPhone/iPad/iPodのチェックボックスをオフにします。 これでインテリジェントブロックは接続の待機状態になります。
Webブラウザでスクラッチのページ(https://scratch.mit.edu/)を開きます。メニューから「作る」を選択してエディターを立ち上げます。
画面の左下にある「拡張機能を追加」というボタンをクリックします。
すると、拡張機能の選択画面が表示されますので、「LEGO MINDSTORMS EV3」と書かれた部分をクリックします。 これでEV3をプログラムするためのブロックが表示されました。
クリックすると、自動的にインテリジェントブロックEV3の接続画面に移行します。 Bluetoothを使って、インテリジェントブロックEV3を検出します。 この時、インテリジェントブロックEV3の電源を入れておきましょう。
インテリジェントブロックEV3が見つからない場合、このようなエラーが表示されます。
エラーが出た場合、インテリジェントブロックEV3の電源が入っているか、Bluetoothの設定は正しいかなどを確認しましょう。
画面の「接続」ボタンを押した後、もし初めて接続する場合には、ペアリングという手続きを行います。ペアリングを行うのは最初に1度だけです。インテリジェントブロックEV3の画面には、接続相手のパソコンの名前が表示されます。ここでは決定ボタンを押して、先に進みます。
続いて、パスキーの入力を行います。初期設定では「1234」が入力されていますので、そのまま決定ボタンを押します。
接続に成功すると、このような画面が表示されます。
ちなみに筆者の場合、このようなエラーメッセージが表示されました。理由は不明です。この後「もう一度試す」ボタンを押すと、正常に接続することができました。
EV3との接続に成功した後の画面がこちらです。EV3を制御するための、ブロックが表示されています。
赤ワクで囲んでいる部分はEV3との接続状態を表しています。 正常に接続されている場合には「チェックマーク(緑色)」が表示されています。
インテリジェントブロックと接続されていない場合には「!マーク(オレンジ色)」が表示されます。その場合、「!マーク」をクリックすると接続画面に移行します。
あとはブロックを並べてプログラムを作るだけです。
たとえばこれは音を鳴らすプログラムです。実行するとインテリジェントブロックから「ピー」という音が鳴ります。 ブロックの詳しい使い方については次回に紹介します。
当ブログの内容は、弊社製品の活用に関する参考情報として提供しております。
記載されている情報は、正確性や動作を保証するものではありません。皆さまの創意工夫やアイデアの一助となれば幸いです。